99人の壁化するウェブ
フジテレビに『99人の壁』という人気クイズ番組がある。
1人の挑戦者が自分の得意ジャンルのクイズに挑み、同じ問題を99人も答えるという内容だ。挑戦者は99人より速く正確に答えなければ勝ちにならない。いかに自分の得意なジャンルの問題が出題されるとは言え99人と対決するのはなかなかむずかしいらしく、5回99人に勝利することで得られる賞金を手にした者はとても少ない。
ひとりの挑戦者に対して大勢がブロックするというこの構図、どこかで観たことがあると思ったら、最近のSNSを主とするウェブの構図に似ている。
誰かが何かを書いたらその他大勢がその事実関係をチェックし、間違えているとやり玉に挙げられる。事実を間違えていて指摘されるならまだしも、枝葉末節をあげつらわれることも少なくない。
また、指摘する側が基本負け知らずなのでますます増長し、標的を探し求める。
この状況が続くことで、最初に意見する者は萎縮し、その数を減らす。あるいは萎縮することのない――悪い言葉を使えば無思慮な――者の意見が増えていく。
思慮深いファーストペンギンがいなくなった後のウェブは刹那的な内容に溢れたものになるだろう。ウェブ上のナレッジはストック型が多い方が有益だと思うが、99人の壁化がすすめばフロー型の情報ばかりがますます増大していくばかりだろう。それは好ましくない状況だと個人的には思う。
